大学連携理科講座『気体,液体,固体中の絶縁破壊を体験する。』

今年度2回目、11月9日(土)の大学連携理科講座は『気体,液体,固体中の
絶縁破壊を体験する。』と『自然界の放射線』の2講座を用意していただきま
した。今回は『気体,液体,固体中の絶縁破壊を体験する。』を紹介します。

担当していただくのは、理工学部理工学科電気学系の植原 弘明 教授です。
植原先生はプラスチックなどの絶縁劣化や破壊などを研究されています。
今回ははじめに電気回路を構成する素子、コンデンサーとコイルの特性につい
て実験し、測定します。


コンデンサーはキャパシタとも呼ばれ、電気を蓄える装置です。その電気を放
出してエネルギーに変えることができます。様々な用途に用いられています。
電子回路の中では電圧を安定させたり、ノイズを取り除いたり、電磁波を周波
数で選り分けたりするために使います。今回の実験では比較的容量の大きな電
解コンデンサーを使います。
実際の電子回路に使われているものに比べると、お化け並み大きさのコンデン
サーを使います。最初は、コンデンサーでLEDを点灯させ、その点灯時間を測定
する実験です。電源電圧の違いによって、点灯持続時間がどう変化するのかを
調べます。
回路の組み方に戸惑いながらも、何とか実験を開始しました。電源電圧を6[V]
からはじめ、1[V]刻みで12[V]まで測定しました。どのグループも9[V]くら
いまでは比例しますが、そこからやや比例しなくなってしまいます。
さらに時間を測定しながら、放電時の電流・電圧特性も測定しました。そして
電力を計算で求めました。4秒後との測定ですが、はじめは急速に電力が減衰
し、その後0に漸近していくことが分かりました。


続いてコイルの誘導起電力を調べます。コイルの周りで磁石を回し、コイルに
発生する起電力(電圧)を測定しました。当然回転数を上げていくと誘導起電力が
増加しますが、その値は比例しません。
中学生には難しい実験ないようでしたが、測定自体は生徒たちはていねいに取り
組み、うまく行ったようです。


最後に静電気、摩擦電気について学習しました。コピー機などの身近な機械や、
車の塗装などに利用されている静電気は、発生させるためには非常に高い電圧
を必要とします。


部屋を移動して高電圧発生装置で空気中の絶縁破壊、すなわち
雷を体験しました。
金網に囲まれた中に、マネキンが置かれています。そのマネキンに轟音とともに
雷が直撃しました。一瞬の出来事でしたが、ものすごい迫力でした。生徒たちの
間には一瞬沈黙の時間が流れました。



電子回路の素子がどういうものかを知ることができ、最後には雷を疑似体験でき、
その驚きを持ち帰る生徒たちは、とても興奮していたようです。この感動が、理
科への興味につながってくれることを願っています。


3年総合学習 大学への理科実験入門

昨年度から3年生で実施している本校独自の『総合学習』の時間は、特色ある講座がたく
さんあります。中でも関東学院大学には様々な講座のご協力をいただいています。今日は
人気の講座のひとつ『大学への理科実験講座』のようすをご紹介します。

9月いっぱいまでの前期で4回の実験が行われますが、この日は最後の4回目です。『組
み込みシステム マイコンプログラム』という講座です。講師は理工学部情報ネット・メ
ディアコースの山本政宏教授です。山本先生は通信システムやワンチップマイコンを使っ
た機器の開発の専門家で、例えばファミリーレストラン等で広く使われているオーダー用
の端末の開発を企業でされていたそうです。移動した実習室は、最大120人が同時にパ
ソコンを利用できる部屋です。先生はシステムのプログラミングを学ばせるだけでなく、
ハードウェアもきちんと学ばせたいという思いから、パソコン組み立てなどの作業もでき
る部屋になっていました。所狭しと様々な機器が並べられており、大学の講義の熱気が伝
わってくる感じです。


この日は、PICマイコンを使って電光掲示板にオリジナルのメッセージを映し出します。
この掲示板は電車の車両についている行先表示板に利用されている掲示板と同じものだそ
うです。手渡されたプログラムは何やら難しそうですが、プログラム本体は今回はいじら
ず、掲示板に映し出す文字のパターンの部分だけ入力します。ただし入力したものはきち
んとコンパイル(機械の言葉に書き換える)したり、チップに焼き付けるためのアプリケー
ションの準備をしたりするなど、手順としては本格的なものでした。


このオレンジの機械をパソコンにつないで、Flash Deviceにプログラムを焼き付けます。
それを電光掲示板のついた基盤に取り付けて表示させます。


先生はもちろん、大学院生もお手伝いくださり、表示を入力してプログラムを焼き付けて
いきます。はじめの入力は生徒たちも苦労しながらやっていました。それだけに表示され
たときの嬉しさはひとしおです。一度うまくいけば、生徒たちの飲み込みは早く、どんど
ん入力を繰り返し、いろいろなメッセージを表示させて喜んでいました。身の回りのちょ
っとした電気製品などには、こうした「組み込みシステム」が埋め込まれています。これ
らのシステムはもはや私たちの便利な暮らしに不可欠なものです。大学での研究が私たち
の生活を支えていることを知り、理工系の学習に興味を持ってもらいたいと思います。



終了後、数名の生徒は山本先生の研究室を見せてもらいました。ちょっと雑然とはしてい
ましたが、興味深い機械がいっぱいあって、生徒たちは目を輝かせていました。


山本先生、研究室のみなさん、ありがとうございました。


『女子中高生夏の学校〜科学・技術者のたまごたちへ〜』に参加

女子中高生夏の学校〜科学・技術者のたまごたちへ〜というプログラムに本校の女子生徒
3名(3年生2名4年生1名)と教員1名が参加しました。これは、独立行政法人科学技術振興機
構の女子中高生理系進路選択支援プログラムとして8月8日〜10日の2泊3日、埼玉県の独立
行政法人国立女性教育会館に、129名の生徒と22名の保護者18名の教員が集い、行われた
大規模なものです。
下の写真は開会式の様子です。保護者や教員は2階、参加生徒は1階です。
初めて会う生徒たちですが、すぐに打ち解けていたようです。


プログラムは、次の3つに大別できます。
〇饑呼欧NTTドコモ、鉄道総合技術研究所などに勤務する女性研究者のお話を聴き、バー
チャル職場訪問をする。ポスター展示を見て多くの学会の科学者達と直接話をする。
このようなプログラムは理系の職業にはどういったものがあるのかを知り、頑張っている
先輩たちと接してロールモデルを得るとこに役立ちます。展示は応用物理学会や日本数学
会、土木学会、日本天文学会、日本遺伝学会など全部で34団体もありました。その中に関東
学院大学土木系女子の会(通称どぼじょ)もきていました。
ものすごく積極的な生徒が多く、質問がどんどん飛び交っていました。

12種類の実験・実習から自分が選択したものを1つ体験する。
 いくつか実験を紹介すると・3D万華鏡の世界・水辺の生態系を観察しよう・結び目のゲー
ムを作って遊ぼう・世界を計算してみよう などがありました。


クイズや作業を通して友達を沢山つくる。
 参加者は中学3年から高校3年までの女子で、日本全国から参加しています。地方別の生徒
人数は、北海道2名、東北15名、関東46名、甲信越・北陸・東海28名、関西10名、中国8名、
四国2名、九州13名、沖縄5名でした。生徒たちは出身地・学年がばらばらになるようにつく
られたグループで行動します。協力してゲームに挑戦したり、同じ部屋に泊まったりします
のでとても仲良くなります。このような企画に参加する生徒たちはモチベーションが高い子
が多く、良い刺激を受けてきたことと思います。また、グループに1人TAと呼ばれる女子大生
がついて指導してくれます。彼女たちはお茶の水女子大や筑波大学、早稲田大学などで理系
の勉強をしている学生たちです。TAの多くは高校生のときに『夏の学校』に参加した経験を
もつようで、そのような先輩たちとの交流も夏の学校の特徴の1つです。
下の写真はクイズの様子です。モチベーションが高い生徒ばかりで、クイズもかなり盛り上
がっていたようです。


 この『夏の学校』は毎回参加希望者が多く、今回も100名ぐらいお断りしたそうです。1校
につき3名以下しか申込みができません。今年度は募集要項が締め切り間近に届いたため理科
会推薦として日頃から有志の実験によく参加する生徒3名に声をかけ、一緒に参加してきまし
た。とても良いプログラムでしたので、次年度の3〜6年生の女子で興味のある人は、来年の
4〜5月頃、理科の教員に声をかけてください。


大学連携理科講座『ガラスから鏡を作ってみよう』

今年度初めての「大学連携理科講座」が6月22日に行われました。今学期は『熱の移動に
ついて学ぼう』と『ガラスから鏡を作ってみよう』の2講座を用意していただきました。
今回は『ガラスから鏡を作ってみよう』について紹介します。

担当してくださるのは、理工学部理工学科化学学系の小岩一郎教授です。小岩先生は、
エレクトロニクス分野を支える表面処理技術や実装技術を支える『めっき法』について
研究をされています。
身のまわりにある電化製品は日々進歩しています。携帯電話、パソコンなどどんどん小
型化、高機能化しています。それらは半導体の進歩によるものです。半導体の中の細か
い配線は、めっきの技術によって作られています。さらなる半導体の進歩には、表面処
理技術が必要不可欠です。
今回の実験では、表面処理技術の一つである『めっき法』について、スライドガラスへの
無電解めっきを学びます。

実験場所は、大学6号館3階303号室で行いました。実験室に行ってすぐに、スライドガラス
をめっき浴につけてみようと一人一枚のスライドガラスが渡されました。
「化学は観察することが大事」「どう変化しているかしっかり見よう」と小岩先生はおっ
しゃっていました。生徒は、めっき浴につけたスライドガラスを一生懸命見ていました。



しばらくすると、透き通っていたスライドガラスが少しずつ不透明に変化してきました。
だんだん鏡のようになっていくその変化を生徒は食い入るように見つめていました。
観察していた生徒が何かを発見しました。ガラスにクマやリンゴの模様や「小岩参上!」
の文字が浮かび上がってきました。浮かび上がった模様や文字に生徒は大盛り上がり。
用意してくださった研究室の方々のユーモアを感じました。


「60℃くらいの低い温度で、こんな化学変化が起こせるのも化学の成果だ」「このような
条件や物質を発見、生成することが化学の面白さであり、素晴らしさである」と生徒に化
学を学ぶ醍醐味を教えてくださいました。
完成した鏡はお土産としていただきました。


次に、一見何の変哲もないガラスにめっきできた謎を知るために、『前処理』についての
実験を行いました。
めっきは前処理が大事です。用意された水溶液に、1分、30秒と次々につけていきます。
最初はぎこちなかった生徒の動きも、だんだん慣れてきたようで研究室の方々に促されなく
ても実験を行っていました。
何度も水溶液につけると、だんだん透明だったガラスが、うっすらと色がついてきました。
「ガラスの表面が何か変わった」「いや、ほんとに変わっているの?」など生徒の間で話し
合いをしていました。

前処理の効果を見るために、1枚のガラスにはビニールテープが貼ってありました。前処理
が終わったら、テープをはがして、いざめっき浴の中へ。
最初の実験のように、少しずつガラスが変化していき、鏡に変化していきました。最初と
違うのは、模様や文字は出てきません。ガラス一面に金属が析出していました。テープが
貼ってあったところにはめっきされず、そのままのガラスでした。

つまり、最初に渡されたガラスは前処理がすんでいるもので、研究室の方々が前もって準備
してくださったものでした。ただ水溶液につけるだけでこれだけの違いが出ることに生徒は
驚いていました。

実験が終わった後は、めっきについての講義でした。

近年のコンピュータの発展が著しいのは半導体の進歩のお陰だということ、昔よりも身のま
わりに電化製品が増えてきたこと、家庭用ゲーム機の中身の話などいろいろな話をしてくだ
さいました。昔の技術のまま、今の携帯電話を作ったらビルぐらいになってしまい、とても
持ち歩くことは不可能だよ、という話を聞いて生徒は驚いていました。


めっきの反応や前処理についても教えてくださいました。まだイオンや還元剤などを習って
いない1、2年生の生徒にもわかりやすくイラストを使って説明してくださいました。生徒は
真剣に講義を聞いていました。

関東学院大学と『めっき』についても教えてくださいました。大学内に工場があったこと、
大学が作った会社があることなど関東学院大学のめっきの技術の高さと歴史の深さを教えて
いただきました。プラスチックに金属めっきをして製品としたのは、関東学院大学が最初だ
そうです。現在の車の車体部分の多くはプラスチックにめっきが施され、軽量化に一役買っ
ており、その魁が関東学院大学ということです。


今回の講義を通して、めっきが身の周りの様々なものに利用されていることを学びました。
また、実験を通して、化学の凄さ、素晴らしさ、面白さを感じることができたと思います。
将来の進路を考える一つの選択肢になれば嬉しく思います。


大学連携理科講座『熱の移動について学ぼう』

今年度初めての「大学連携理科講座」が6月22日に行われました。今学期は『熱の移動に
ついて学ぼう』と『ガラスから鏡を作ってみよう』の2講座を用意していただきました。
今回は『熱の移動について学ぼう』の様子をお伝えします。

今回担当してくださるのは、関東学院大学理工学部機械学系の辻森淳教授です。これまで
も実験教室や工学部半日体験で何度もお世話になっています。この日も講義に先立って生
徒に向けて理系の学習について熱いお言葉をいただきました。「分からないものに興味を
持とう。せっかく6年一貫校に来たのだから、効率の良い勉強ばかりしてないで、いろん
なことに興味を持ってください。」

この日分かってほしいことは熱の伝わり方。その3つの形態(熱伝導・熱伝達・熱放射)を
理解しよう、と先生はおっしゃいました。これは中学や高校の勉強でも出てくることです。
先生は具体例を出したり、人の出す熱を数値で示したりしながら、分かりやすく教えてく
ださいました。


続いて熱の伝わる様子を見るため、簡単な実験をしました。
金属とプラスチックの板に、ペルチェ素子というものがついています。これは電流を流す
と片側が熱くなり、反対側が冷たくなるという性質を持つものです。ペルチェ素子で板を
温めて、それを温度を映像で見る機械(サーモグラフィ)で見ることで、熱の伝わり方を確
認します。もちろん、手で触って確認もします。


結果は一目瞭然。プラスチックはヒーターの上だけが赤くなっているのに対し、金属(アル
ミニウム)は一様に広がっていることが分かります。アルミニウムはとても熱を伝えやすい
金属であることがはっきり分かりました。そういう特性を利用して、製品によって素材を
上手に使い分けることが大切であることを、様々な事例をあげて説明してくださいました。


そのほか、エアコンは消費した電気エネルギーに対して4から5倍の効率を達成しているこ
とを解説してくださったり、宇宙で人工衛星の電子機器を冷やすためのヒートパイプの実
物を見せてくださったり、「スペースシャトル」が大気圏に突入する際に熱から内部を守
る日本製のタイルの実物を見せてくださったりしました。生徒たちは興味深そうに覗き込
み、なかなか次の人にまわってきませんでした。


終了後も生徒たちはなかなか立ち去らず、先生に質問を浴びせていました。この大学連携
理科講座でいつも感じることですが、生徒たちは難しいことであっても、「本物」には強
く興味を示すことです。そんな生徒たちの好奇心に先生も「今の学生と入れ替えてもいい
なぁ」と冗談めかして言っていました。また、「今は車のボンネットを開けてもカバーが
されていたり、半導体素子ばかりだったりする。機械を分解することもあまり許されない。
とてもかわいそうだ」ともおっしゃっていました。この大学理科講座は科学技術や機械に
対する興味を引き出す数少ない機会かもしれません。先生の話から、理科の授業でもそれ
以外の学校の中でも、科学に興味を持ってもらう仕組みを作る必要性を強く感じました。


大学連携理科講座募集中

本校では、関東学院大学工学部の研究室にご協力いただき、「大学連携理科実験講座」を
毎年行っています。中学1・2年生を対象に、大学での学びを体験することや理科の面白
さを体感することを目的にしています。

昨年度の様子をご覧ください。(写真をクリックしてください)



『家庭の水道』

『モーターと力の関係』

『球(たま)にもいろいろ〜形による影響〜』

『植物のバイオテクノロジー』


今年度も学期に1回ずつ、各回2講座を用意していただいています。講座内容は以下の通
りです。

◎1学期 6月22日(土) 開講講座概要
 ○講座 屮ラスから鏡を作ってみよう。」(化学)
   皆さんの持っているスマートフォンなどは、めっき技術がないと作製できません。
   今回は、無電解めっきを使用してガラスを鏡に変えましょう。
   (担当:理工学部理工学科化学学系 教授)
 ○講座◆崘の移動について学ぼう。」(機械)
   なぜ,同じ温度の物でも冷たいと感じたりするのでしょう。熱移動の形態を学び、
   温度計測についても理解を深めよう。
   (担当:理工学部理工学科機械学系 教授)

◎2学期 11月9日(土) 開講講座概要
 ○講座「気体,液体,固体中の絶縁破壊を体験する。」(電気)
   高電圧発生装置を使用して、気体(空気)・液体(油)・固体(プラスチック材料)の破壊
   を体験します。
   (担当:理工学部理工学科電気学系 教授)
 ○講座ぁ崋然界の放射線」(社会)
   放射線に関する簡単な説明をした後、大学のキャンパス内において放射線の測定を
   行います。
   (担当:理工学部理工学科土木学系)

◎3学期 2014年1月25日(土) 開講講座概要
 ○講座ァ屮灰鵐團紂璽燭妊押璽爛廛蹈哀薀潺鵐阿鬚靴討澆茲Α」(情報)
   コンピュータで簡単なゲームのプログラミングをして、キャラクターを動かしてみ
   よう。PC初心者でも大丈夫です。
   (理工学部理工学科情報学系 助教)
 ○講座Α崋然の声を聴いて、みんなの中庭を設計しよう!」(建築・環境)
   まず植物や小動物、太陽の高さ、風の向きといった自然の要素を観察します。そし
   て夏はどのように変化するかを予測した上で、中庭を設計します。
   (担当:建築・環境学部 建築・環境学科 准教授)

在校生のみなさん、締め切りは明日31日です。講座△呂泙斥祥気あるそうです。
申し込みをお忘れなく。


大学連携理科講座『植物のバイオテクノロジー』

今回は『植物のバイオテクノロジー』について紹介します。担当してくださるのは、工学
部物質生命科学科の近藤陽一助教です。近藤先生は、遺伝学と分子生物学を専門とされて
います。それらの知識と技術を利用して、進化の過程で植物が獲得してきた様々な機構の
メカニズムを解明する研究を行っているそうです。また、得られた遺伝子資源を利用して、
作物に有用な性質を付与することを目指しているそうです。


生命現象とは「生物が示す生物固有の現象」で、「足が速い」や「花が一斉に咲く」、
「朝が弱い」などがあります。これらの生命現象は、タンパク質に支えられています。皮
膚や爪、髪などに含まれるケラチンなどがそうです。そのタンパク質は、細胞内に存在す
る遺伝子によって決まり、遺伝子は世代を超えて受け継がれます。生物の改良は、昔から
行われており、人間にとって有益な性質を持つものを作ることを目的としています。犬な
どの品種改良は、交配可能な種の遺伝子しか利用できません。しかし、交配できない種の
遺伝子を利用したい場合は、バイオテクノロジーを用います。バイオテクノロジーの中で
も、植物の基礎的な操作として細胞融合があります。今回の実験では、異なる種の細胞を
融合させることにより、植物を改良する方法を学びます。実験に用いた植物は、ピーマン、
紫キャベツ、人参、パプリカ(赤、黄)です。細かく刻んだ植物を酵素液に浸します。そ
れをデシケーター内に入れ減圧します。その後、30℃の温浴で30分間反応させます。


30分間の間に今回の実験に関する講義を受けました。皆、真剣に先生の話を聞いていました。


30分後酵素液に浸した資料を取り出し、静置すると、チューブの底にもやもやしたものが
沈んでいました。これがプロトプラスト、細胞壁のない単体の植物細胞です。これを
ピペットで静かに吸い上げます。乱暴に扱うと細胞が壊れてしまいます。皆、慎重に作業
していました。吸い上げた液を1滴スライドガラスにのせ、カバーガラスをそっとのせて
顕微鏡で観察しました。使用した顕微鏡は、最新式の双眼光学顕微鏡で、一人1台用意さ
れていました。

なかなか細胞を見つけられない生徒もいましたが、先生方の指導のもと自分で作ったプロ
トプラストを観察することができました。その後、作製したプロトプラストを用いて細胞
融合をする予定でしたが、時間がきてしまいました。しかし、先生が用意してくださった
試料では、紫キャベツとピーマンの細胞が綺麗に融合している様子を観察することが出来
ました。


今回のテーマは将来、身近な植物に多く応用されていき人間の社会の助けになっていきま
す。それらがどのように研究され、作られていっていくのを知ることはとても大事なこと
です。今回の実験を通してバイオテクノロジーに興味を持ち、将来の進路に繋がってくれ
ると嬉しく思います。

最後に参加した2年生の感想を掲載します。

先生の話を聞いて、自分で思っている以上に遺伝子導入された植物を食べていることに
びっくりしました。
この実験に興味をもった理由は、家で色や形の異なる2種類のウリを近くで育てた時に、
2種類のウリの形や色をしたウリができたからです。
実験では、細胞融合をする予定でしたが時間が足りませんでした。なぜかというと細胞
融合の前に行う細胞壁を取り除く作業が難しかったからです。元から作られていた雑種
細胞を見ることができなくてとても残念でした。機会があったらこの実験をもう一度し
たいです。


大学連携理科講座『球(たま)にもいろいろ〜形による影響〜』

すっかりおなじみになった大学連携理科講座。1月26日(土)、今年度最後の講座が
行われました。今回も2講座が用意されました。
ここでは『球(たま)にもいろいろ〜形による影響〜』をお伝えします。
今回の先生は、工学部機械工学科教授の金田徹先生です。先生はものの表面の形を正確
に測る装置を作る研究をされています。


はじめは金田先生のお話から。この研究室で扱っている金属の「球」は、みんなが持っ
ている身近なものにたくさん使われているそうです。たとえば自転車や自動車、鉄道な
ど車輪の車軸にはベアリングという球がいくつも入っています。また、コンピューター
のハードディスクは1分間に何千回転もしていますが、その回転を支えているのも「球」
なのです。そしてその球の「球具合」によって、製品の性能が左右されてしまうのです。


その球は、針金のような棒状の金属を短く切り、両側から圧縮して作ります。こうして
作っただけではきれいな球はできないので、様々な方法で磨き上げていきます。このと
き、磨き上げる工程にどれだけ時間をかけて丁寧に磨くかで「球具合」が変わります。
高い精度を求められる球はかなりの時間をかけて作られているそうです。


軸受用の鋼球とパチンコ玉、見た目にはどちらも同じ球にしか見えません。ところがそ
の表面を「真円度測定器」で測ると…

これだけの違いがあります。どんなに磨いても完全な球は作れないそうですが、パチン
コ玉は機械の目からはボコボコの金属の塊なんですね。


この精度のまったく異なる2つの球を使って実験をしてみます。下の写真の装置はこれ
らの球を飛び出させて、下に置いてある3つの平らな金属の板に3回バウンドさせ、的
になっている入れ物に入れるというものです。完全な球ならば、バウンドして入れ物に
入るように計算されて作られています。


2種類の球を5回ずつ、1人10回実験して的に入った回数を種類ごとに数えます。
11人の生徒が実験したので、合計110回行いました。慎重に球を置いて飛び出させ
ます。置くときは真剣そのものです。入らないのは自分が失敗したからというわけでは
ないのですが、入らないとなぜか悔しい顔になります。先生はパチンコ玉が結構入るの
で、ちょっとドキドキしていたようです。


実験結果は、鋼球の命中率69%,パチンコ玉55%でした。やはり精度の違いが結果に表れ
ました。軸受などで使われるときはもっと過酷な条件ですから、球の精度の違いはもっと
如実に表れてしまいます。


割とおとなしい生徒たちでしたが、実験や講座をかなり楽しんでいたようで、記念写真後
も先生を質問攻めにしていました。軸受の部品をもらった男の子は大喜びでした。


自分たちの生活を支える技術が、隣の大学で研究されている。そんな事実に彼らの好奇心
は大いに刺激されていたようです。機械いじりが大好きな生徒が増えて、将来の進路を考
えるきっかけになればうれしいです。


大学連携理科講座 『モーターとチカラの関係』

今年度の第2回「大学連携理科実験講座」。先日は『自然界の放射線』についてご紹介し
ました。今日はもう1つの講座『モーターとチカラの関係』について紹介いたします。

担当してくださるのは工学部電気電子情報工学科の元木誠准教授です。元木先生はロボッ
ト学を専門とされており、二足歩行ロボットの行動制御や構造設計、デザインなどロボッ
トに関する総合的な研究を行っているそうです。

はじめに、現代社会のあらゆる場面で必要な「メカトロニクス」ということについて学び
ました。「メカトロニクス」とは、機械工学の「メカニクス」と電子工学の「エレクトロ
ニクス」を一体化させた技術・学問分野の事をいい、ロボットや自動車、家電製品などに
利用・応用されているものです。


今回は、メカトロニクス(機械を電気で動かす技術)の一例として、モーターと滑車を用
いたオモリの巻き上げ装置を使用して、オモリの個数や電池の個数を変えることによって
巻き上げ時間がどのように変化するかを調べる実験でした。
モーターと滑車、電池ボックスとスイッチで出来たシンプルな装置を用い、3人一組となっ
て実験を行いました。3人にはそれぞれ「ストップウォッチで時間を測る」「巻き上げ装置
とスイッチを扱う」「結果を記録する」の役割が与えられ、協力しながら実験を進めてい
きました。


巻き上げるオモリの数を1個から始めて、3、6、9、12、15個と増やしていき、時間がどう
変化していくかの実験です。どれぐらい時間が長くなっていくか予想しながら実験をして
いく生徒もいました。

次に、電池を2個に増やして実験です。生徒たちが予想した通り、巻き上げ時間は1個のとき
に比べて早くなっていました。生徒は同じことを繰り返す中でも、結果を想像しながら実験
していました。
さらに、滑車の直径を大きくして実験です。オモリの個数、電池の数、滑車の直径を変化さ
せたときの結果が比例関係になるのではないかと考えていた生徒もいましたが、実験結果は
予想通りにはいきません。「どうしてだろう?」と考える生徒もいました。
全ての測定が終わったら、今度は結果をグラフにしていきます。比例のグラフのように直線
ではなく、2次関数のような曲線のグラフ結果になりました。しかも、途中でグラフがクロス
しました。巻き上げ時間との関係は単純ではないようです。
実験中は、先生や大学生が親切に教えてくださりスムーズに進めることが出来ました。曲線
のグラフを書くときのコツも丁寧に教えてくれました。


モーターの能力を最大限に発揮するには、条件があるようです。
今回の実験から、オモリを巻き上げる時間を短くするには、オモリの個数が少ないときは
滑車の直径を大きく、オモリの個数が多いときは滑車の直径を小さくする方が良いことがわか
りました。
身近にある機械も、目的に合わせて滑車の大きさを変化させて利用しています。自転車の
ギアチェンジが代表的なものです。それらの応用が複雑な機械やロボットに活かされてい
ます。今回の実験を通して生徒が、身の回りの機械などに興味を持って、将来の道を決める
助けになれば嬉しく思います。



大学連携理科講座 『自然界の放射線』

今年度2回目となる「大学連携理科実験講座」。関東学院大学工学部の研究室にご協力い
ただき、中学1・2年生を対象に、大学での学びを体験することや理科の面白さを体感す
ることを目的に実施しています。
第2回は『自然界の放射線』『モーターと力の関係』の2講座を実施しました。
今回は前者を紹介します。

担当してくださるのは工学部社会環境システム学科の前田直樹教授です。前田先生は地震
学および地球内部物理学を専門とされています。主に地震活動、間欠泡沸泉の噴出現象や
メカニズムに関する研究を行っているそうです。温泉にはラジウムやラドンなど自然界に
存在する放射性物質が含まれており、温泉を調べるため放射線を測定するそうです。


はじめに原子や分子,原子核の構成,放射性同位体などをかんたんに説明していただきま
した。かんたんにとは言っても、高校生の化学や物理の内容です。ちょっとついていくの
が厳しそうではありましたが、一生懸命食らいついていました。
次に放射線の種類や単位など,新聞やテレビでよく見聞きする話が出てきました。放射能
と放射線の違いや「シーベルト」や「ベクレル」という単位の意味の説明を受けました。
その場で完全に理解できたわけではありませんが,測定後に質問できるようメモをしてお
きました。


生徒たちがもっとも興味を示していたのは、身近な横須賀や三浦半島での話でした。横須
賀は米軍基地があったり、核燃料の工場があったりする土地柄、東日本大震災以前から測
定はかなり盛んに実施されていたようです。グラフからは雨が降ったときに放射線量が大
きくなることがわかりました。これは、放射性物質が雨と一緒に降ってくるためです。
また、震災以降高くなった放射線量は徐々に減ってきてはいますが、まだ元の水準の2倍
あることが分かります。放射性同位体には半分に減るまでの時間「半減期」というのがあ
り、膨大な時間がかかるということを教わりました。


さて、いよいよお楽しみの測定器の登場です。大きな装置はGM管と言われるもので,β
線とγ線を測定できます。GM管は扱いがやや難しいので、小さな測定器を使います。
こちらはγ線のみ測定できます。試しに測定を開始すると、みんな興味津々で覗き込んで
いました。


測定器を持ち出して、大学キャンパス内の放射線量を測定します。実験室では0.05
μSv/hぐらい。環境省の除染基準は高さ50cmで0.230μSv/hです。
まずはフォーサイトの建物に埋め込まれた花崗岩の上で測ってみました。花崗岩には放射
性物質が含まれており、高い値が予想されました。花崗岩の上での測定は、約0.175
μSv/hでした。普通の場所よりは高いですが、除染基準には達しませんでした。
フォーサイト前の植え込みや、池の周辺、大学図書館の建物の下など、様々なところを測
りましたが、いずれも0.07μSv/h以下でした。


先生からの提案で雨水がたまりやすい側溝の中を測定したところ、0.15μSv/h程
度まではねあがりました。やはり雨水に含まれた放射性物質によって大きな値が出ている
ようです。


測定を終了してもまだまだ測りたいらしく、男の子たちは気がつくと離れたところで測定
しているといった具合でした。先生ともすっかり仲良くなれたようです。


部屋に戻ってからは先生に質問を次々と浴びせていました。「ウランに代わる安全な燃料
は?」「放射線を出さずに大きなエネルギーを出す物質は?」「放射性物質は体のどこに
たまるの?」「放射線を浴びないようにするためには水に潜るのが一番いいのか?」…な
ど。先生と話しながら測定を繰り返していく中で、一気に興味が広がったようです。
この後、英検のある生徒や部活のある生徒は、終了したときに時間を見てびっくり。
「お昼ご飯の時間がなくなっちゃった」それほど夢中になっていたようです。


生徒達は学校に戻る際もまだ放射線の話をしながら歩いていました。今の様々な問題に目
を向け、科学に対する興味を高めることができたようです。実り多き講座となりました。




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