『校報』第111号(ブログ版・その7) アラスカ研修

アラスカ研修

 

 

 10年後、20年後に理系分野で活躍する人材を育成するための入門として、昨年度からアラスカ研修が設定されています。2回目となる今回は、自然や宇宙、不思議な現象が好きな8名の男子生徒(3年生5名、4年生3名)が参加し、7日間の旅程で行われました。
 まず事前学習として、成蹊大学の藤原均先生に来校していただき、オーロラ発生のしくみやオーロラを光らせるために必要な要素などについて解説していただきました。また地球上でオーロラを観測できる地域や他惑星のオーロラのようすなどについての話もあり、オーロラに関する興味が高まりました。
 1月14日の最終説明会では、出発前の諸注意の他、オーロラ写真の撮り方やカメラの扱い方などに関するレクチャーが行われ、1月21日には国立極地研究所の南極・北極科学館を訪れ、南極や北極でどのような観測活動が行われているか、地磁気共役点や共役点
オーロラなどに関して学びました。
 1月29日(日)成田発の便に乗り、約7時間半でシアトルに到着後、さらに飛行機を乗り継ぎフェアバンクスに到着しました。フェアバンクスの気温は-15℃程度で、震えるほどの寒さでしたが、現地の方に伺ったところ、先週は-50℃の日が3日間続き大変だったとのことでした。でもその日も学校は平常どおり授業が行われたと聞き、さらに驚きました。
 空港近くのホテルで防寒着を借り、スーパーで水やお菓子などを買い込み、バスで宿泊地であるチェナ温泉に向かいましたが、途中で巨大なムースが道路に飛び出してきました。
 初日から3日間はチェナホットスプリングスリゾートに宿泊して、オーロラを観測します。午後11時頃、防寒着を身につけて撮影用の機材を持ってアクティビティセンターに集合しました。
 夜空には多くの星が輝き、オーロラが出現する予感がしました。約1時間後にオーロラが発生しましたが、白くぼんやりとした雲にしか見えません。しかしカメラのレンズを通すときれいな緑色に見えるではありませんか。早速シャッターを切り、オーロラをカメラに収めました。
 2日目はブランチを取ってからアイスミュージアムを見学し、午後は温泉に入ったり、クロスカントリーを楽しんだりしました。夜はやや曇っていたため、昨日のようなきれいなオーロラを見ることはできませんでしたが、私たちの目はオーロラと雲を見分けられるようになってきました。
 3日目はブランチを取った後、犬ぞりを体験しました。そりを引くのはアラスカンハスキーなどで、約70頭の犬が敷地内で飼われています。私達が乗ったそりは14頭の犬が引きましたが、犬達はそりを引くメンバーに選ばれるために、犬小屋の周りをクルクル回ったり、吠えたりして大いにアピールしていました。そりのスピードは意外に速く、周りの雪景色が流れるように見えて美しかったです。その後、チェナ温泉で行われている地熱発電装置や温泉のお湯を使っての野菜栽培のようすなどを見学しました。夜は雪上車で約15分登った山の上でオーロラを観測しました。山頂から見る夜空は全天が晴れており、素晴らしいオーロラが全方位に見えました。特にオーロラのブレイクアップという現象が起こり、オーロラが幕のように広がったり、渦を巻いたり、筋状に伸びたりしたのでとても感動しました。現地の方々もめったに見られないほどの珍しい光景だったようです。約3時間観測しましたが、ほとんどの生徒は時間を忘れて写真を撮り続けました。
 4日目にチェナを出発してフェアバンクスに向かいました。その途中で石油のパイプラインを見学後、アラスカ大学北方博物館に立ち寄ってアラスカの歴史や野生動物の種類・生態などについて学びました。アラスカ大学では、留学生のパトリシアさんからオーロラが発生するしくみなどに関する講義を受けました。夜はレストランで分厚いステーキを食べた後、郊外にある「オーロラハウス」で北端幸喜氏の指導の下、オーロラを観測したり、集合写真を撮っていただいたりしました。
 翌日はアンカレッジ経由でシアトルに向かい、シアトルで1泊した後、日本に戻りました。
 今年は太陽の活動が余り活発ではないため、オーロラが見られないかもしれないと聞いて少し心配していましたが、4日間とも観測できたのはとても幸運だったと思います。
 今回の研修はオーロラを見ることだけが目的ではありませんが、オーロラが参加者の胸にしっかりと刻まれ、大自然に関しての興味が深まったことは確かです。極地で暮らすための知恵や工夫なども見たり聞いたりすることができ、充実した研修旅行であったと信じています。(引率 大村 美和子)



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