『校報』第111号(ブログ版・その4) カンボジア・サービス・ラーニング

カンボジア・サービス・ラーニング

 

 

 皆さんはカンボジアを訪れたことがありますか。
 本校で第3回となるカンボジア・サービス・ラーニングに、有志生徒8名とカンボジアを訪れました。12月22日〜 28日の7日間の研修です。
 クリスマスのこの季節、カンボジアは乾季で日本の真夏を思わせる蒸し暑さです。研修前半はプノンペンを中心に現地の中学校とサトウ・ジャパン・センターの2箇所で、後半はプノンペンから南へ約150キロ離れたタケオの小学校で、それぞれ教育ボランティアを行いました。
 なぜ、カンボジアなのか…。教職にあった佐藤亮二先生が「アジアの子供たちに教育を通して支援したい」という思いから、カンボジア・キエンスワイに私塾サトウ・ジャパン・センターを設立。英語、日本語を教える傍ら、「日本とは違う国の状況を知って、生き方のヒントをつかんでほしい」との思いから、日本とカンボジアの若者の交流の場を設けられました。その活動に参加するのが、私たちの研修です。
 訪問した学校は、どちらも教室は2つ、広さは日本より少々狭く、木製の机に長いすがセットになったものに3人がけ。電灯はなく、窓からの光で授業を行い、半日で終了。体育や理科実験の授業はなし。白のシャツに黒のズボン・スカートが標準服。でこぼこの空き地が校庭で、彼らはそこを素足で走り回ります。サトウ・ジャパン・センターは「村の小さな集会所」の風情で、広さは日本の教室の3分の2程度。そこへ放課後、下は4歳から上は高校生まで40人もの子供たちが次々と勉強しにやってきます。そこで日本語を学んでいる女の子が「日本に留学したい」と目を輝かせながら話してくれたのが印象的でした。
 そのような場所で「私たちはどのような教育ボランティアができるだろうか」と考えました。悩んだ末、今回化学部員が参加することから、小中学校では化学実験の演示と体験(フィルムケースロケット、スライム作り、空気砲)、サトウ・ジャパン・センターでは日本文化の紹介として「うちわ作り」と決まりました。その他では、佐藤先生から「運動会をやってほしい」という要望があり、こちらは毎回行っています。
 事前学習は11月初めから定期的に行いました。献金・献品の呼びかけと受付、寄せられた品物の仕分けと箱詰め、実験の練習とクメール語の説明書き、カンボジア留学生によるクメール語会話講座、カンボジアの歴史の勉強など、毎回下校時間まで活動しました。
 その甲斐あって、現地での教育ボランティアは大変有意義なものとなりました。自然の風が常に出入りしている教室で空気砲の実験だけはうまく行きませんでしたが、あと2つの実験はカンボジアの子供たちにはとても興味を引くものだったようです。皆喜んで参加しており、苦労して準備してきた私たちにとっても嬉しい時間となりました。
 小学校の運動会では、競技のお手本を本校生徒が示し、炎天下の校庭を汗だくで走り回りました。クリスマス会では、皆でサンタの帽子をかぶり、1人は暑い中サンタクロースに扮して、子供たちにプレゼントを配りました。
 サトウ・ジャパン・センターでは、英語混じりの身振り手振りで、何とかうちわを作り上げました。8名の生徒にとっては、他では得られない貴重な体験になったことは間違いありません。
 今回の研修のもう1つの目的は、カンボジアの過去から現在を肌で感じることです。プノンペンは今建設ラッシュに街中が活気づいており、屋台が立ち並ぶ古いマーケットからイオンモールのような大型ショッピングセンターまで、新旧が混在している町です。車よりバイクの数が多く、信号はあったりなかったり、横断歩道はなし、歩行者は好きなところで道を渡ります。豪華なホテルが立ち並び、ナイト・マーケットあり、メコン川クルージングあり、先進国の首都を思わせる賑わい振りでした。そうかと思えば、郊外へ行くと、畑が広がり、白い牛が草を食んでいる。小さなお店が連なり、出稼ぎなのか若い男性はおらず、しかし村の中心には富裕層と思われる住宅が建っている、という田舎町が続いています。途中、遺跡を見学、そこに住む子供たちとの交流も行いました。
 中でも特に衝撃的だったのは、ポル・ポト政権下クメール・ルージュによる自国民の大量虐殺の歴史です。現場となったキリング・フィールド、トゥール・スレン博物館(収容所跡)を見学したときは、あまりの悲惨さに息を飲みました。現代でも国の指導者次第では恐怖政治になりうるのだと、生徒たちは深く心に刻んだことと思います。
 暑い中、体力的に過酷な日もありましたが、子供たちのたくさんの笑顔に触れ、ごはんもおいしく、最終日には「もっといたい」「日本に帰りたくない」という声が聞かれるほど、楽しい研修でした。参加した彼らが社会に出たときに、この経験がぜひ生かされることを期待します。     (引率 中村 優子)



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