大学連携理科講座『ガラスから鏡を作ってみよう』

今年度初めての「大学連携理科講座」が6月22日に行われました。今学期は『熱の移動に
ついて学ぼう』と『ガラスから鏡を作ってみよう』の2講座を用意していただきました。
今回は『ガラスから鏡を作ってみよう』について紹介します。

担当してくださるのは、理工学部理工学科化学学系の小岩一郎教授です。小岩先生は、
エレクトロニクス分野を支える表面処理技術や実装技術を支える『めっき法』について
研究をされています。
身のまわりにある電化製品は日々進歩しています。携帯電話、パソコンなどどんどん小
型化、高機能化しています。それらは半導体の進歩によるものです。半導体の中の細か
い配線は、めっきの技術によって作られています。さらなる半導体の進歩には、表面処
理技術が必要不可欠です。
今回の実験では、表面処理技術の一つである『めっき法』について、スライドガラスへの
無電解めっきを学びます。

実験場所は、大学6号館3階303号室で行いました。実験室に行ってすぐに、スライドガラス
をめっき浴につけてみようと一人一枚のスライドガラスが渡されました。
「化学は観察することが大事」「どう変化しているかしっかり見よう」と小岩先生はおっ
しゃっていました。生徒は、めっき浴につけたスライドガラスを一生懸命見ていました。



しばらくすると、透き通っていたスライドガラスが少しずつ不透明に変化してきました。
だんだん鏡のようになっていくその変化を生徒は食い入るように見つめていました。
観察していた生徒が何かを発見しました。ガラスにクマやリンゴの模様や「小岩参上!」
の文字が浮かび上がってきました。浮かび上がった模様や文字に生徒は大盛り上がり。
用意してくださった研究室の方々のユーモアを感じました。


「60℃くらいの低い温度で、こんな化学変化が起こせるのも化学の成果だ」「このような
条件や物質を発見、生成することが化学の面白さであり、素晴らしさである」と生徒に化
学を学ぶ醍醐味を教えてくださいました。
完成した鏡はお土産としていただきました。


次に、一見何の変哲もないガラスにめっきできた謎を知るために、『前処理』についての
実験を行いました。
めっきは前処理が大事です。用意された水溶液に、1分、30秒と次々につけていきます。
最初はぎこちなかった生徒の動きも、だんだん慣れてきたようで研究室の方々に促されなく
ても実験を行っていました。
何度も水溶液につけると、だんだん透明だったガラスが、うっすらと色がついてきました。
「ガラスの表面が何か変わった」「いや、ほんとに変わっているの?」など生徒の間で話し
合いをしていました。

前処理の効果を見るために、1枚のガラスにはビニールテープが貼ってありました。前処理
が終わったら、テープをはがして、いざめっき浴の中へ。
最初の実験のように、少しずつガラスが変化していき、鏡に変化していきました。最初と
違うのは、模様や文字は出てきません。ガラス一面に金属が析出していました。テープが
貼ってあったところにはめっきされず、そのままのガラスでした。

つまり、最初に渡されたガラスは前処理がすんでいるもので、研究室の方々が前もって準備
してくださったものでした。ただ水溶液につけるだけでこれだけの違いが出ることに生徒は
驚いていました。

実験が終わった後は、めっきについての講義でした。

近年のコンピュータの発展が著しいのは半導体の進歩のお陰だということ、昔よりも身のま
わりに電化製品が増えてきたこと、家庭用ゲーム機の中身の話などいろいろな話をしてくだ
さいました。昔の技術のまま、今の携帯電話を作ったらビルぐらいになってしまい、とても
持ち歩くことは不可能だよ、という話を聞いて生徒は驚いていました。


めっきの反応や前処理についても教えてくださいました。まだイオンや還元剤などを習って
いない1、2年生の生徒にもわかりやすくイラストを使って説明してくださいました。生徒は
真剣に講義を聞いていました。

関東学院大学と『めっき』についても教えてくださいました。大学内に工場があったこと、
大学が作った会社があることなど関東学院大学のめっきの技術の高さと歴史の深さを教えて
いただきました。プラスチックに金属めっきをして製品としたのは、関東学院大学が最初だ
そうです。現在の車の車体部分の多くはプラスチックにめっきが施され、軽量化に一役買っ
ており、その魁が関東学院大学ということです。


今回の講義を通して、めっきが身の周りの様々なものに利用されていることを学びました。
また、実験を通して、化学の凄さ、素晴らしさ、面白さを感じることができたと思います。
将来の進路を考える一つの選択肢になれば嬉しく思います。



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